逸失利益・就労可能年数
1 就労可能年数(原則)
① 原則として67歳まで
② 未就労者の就労の時期については原則として18歳とするが、大学卒業を前提とする場合は大学卒業予定時
③ 高齢者については平成20年簡易生命表の余命年数の2分の1と67歳までの就労可能年数のいずれか長期の方
④ 年金の逸失利益を計算する場合は平均余命年数
2 解説
(1) 上記の就労可能年数は職種・地位・事故前の健康状態などにより異なった判断がなされることもありますので、例外のない絶対的な基準ではありません。
(2) 就労可能年数について給与所得者で勤務先に60歳前後の定年制または退職勧奨慣行のある場合でも定年後67歳までは再就職など稼働可能として取り扱う例が多いといえます。ただし、その場合には定年後の収入は相当程度減少するものとして、定年後の稼働期間については定年前の収入額を減額した金額をもとに算定をするかどうかが問題となります。
(3) 幼児など未だ就労可能年齢に達していない者の就労可能年数は、原則として18歳~67歳の49年間とされます。大学生の場合には、実際に卒業が予定される年齢(22歳)が稼働期間とされることが多いといえます。大学進学前であっても大学進学が確実視され、大卒平均賃金を基礎とする場合は当然のことながら22歳~67歳の45年間となります。
(4) 裁判基準では、就労可能年数はある程度定型化されていますが、保険会社が提案する示談案では、就労可能年数について極端に少なく見積もって提案することもあるようですので、自分の現在の年齢をしっかり把握して、正しく就労可能年数を計算することが重要です。