ホーム >  逸失利益  >  逸失利益・高齢者

逸失利益・高齢者

1 基礎収入

高齢者の後遺症逸失利益を算定するにあたっては、以下のような基準で基礎収入を算定するのが一般的です。

① 現に就労していれば、事故前年度の年収額

② 家事労働をしていれば、学歴計女子労働者全年齢の平均賃金

③ 無職で就労の蓋然性があれば、男女別学歴計年齢別の平均賃金

④ 無職で就労の蓋然性がなければ基礎収入なし

2 解説

(1) 高齢者の場合、就労の蓋然性があるかどうかが逸失利益を判断する際のポイントであるといえます。

(2) 家事労働分も含めて、就労の蓋然性について陳述書やその他の証拠を裁判所に提出して、逸失利益の存在を主張・立証する必要があります。

3 事例

(1) 長男が経営する医院で日常清掃業務に従事していた高齢者男性について、毎日3時間程度、医院の玄関先や駐車場の清掃等業務を行い、年間240万円の給与収入を得ていたが、同業務を外注した場合には、一か月あたり11万8800円であること、経営者との親子関係、原告の年齢を併せて勘案すると、就労の対価と考えられるのは、給与の5割の月額10万円であり、これを超える部分は生活費の援助等の贈与であるとし、年間120万円を基礎収入とし、就労可能年数4年、労働能力喪失率100%を認めた例(名古屋地裁平17.8.26、交民38・4・1147)

(2) 無職の高齢者男性について、図面を引くなどの技術を有し、就職予定も存したなど、就労蓋然性は通常の同年齢の者より高いこと等の理由から、平成12年68歳男子の平均年収額である385万3800円を基礎年収とし、平均余命の半分である7年間、労働能力喪失率14%を認めた例(大阪地裁平16.8.25、交民37・4・1101)

弁護士法人ポート法律事務所 川越中央法律事務所 法律相談・ご予約(受付9:30~18:00)049-223-4422

このページの先頭へ