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逸失利益・有職者

1 基礎収入

有識者の後遺症逸失利益を算定するにあたっては、以下のような基準で基礎収入を算定するのが一般的です。

① 事故前の現実の収入(原則)

② 現実の収入が賃金センサス平均額以下の場合でも、平均賃金を得られる蓋然性があれば、それが認められる場合もある

③ 若年労働者(事故時概ね30歳未満)の場合、学生との均衡もあり、全年齢平均の賃金センサスを用いるのを原則とする

2 解説

(1) 有職者の場合、原則として、事故前の給与額(賞与込み)を基礎収入とします。金額は税金等を控除しないいわゆる税込金額を基礎とします。

(2) 有職者で事故後に昇給が生じている場合には、事故後の昇給を考慮した金額を有職者の逸失利益の基礎とすること場合もあります。

(3) 有職者で勤務先企業に定年制があり、現実の給与額が相当な水準に達している場合には、稼働期間の終期まで事故時の収入額を得られると推定することに疑問があることがあります。このようなケースでは、定年時以降について、賃金センサスや定年時点での収入から何割か減額した額を基礎収入として算定する場合もあります。

(4) 有職者の賃金センサスについては、症状固定後の最新の賃金センサスを利用することが多いようです。

(5) 有職者の場合、その賃金の額がいくらであったかどうかが逸失利益の額を定めるにあたって一番大きな要素となります。ただし、30歳以下の若年の場合や兼業主婦・専業主婦の場合には賃金センサスの主張が裁判で通ることもありますので、必ずしも実際の給与額にとらわれるのではなく、ケースバイケースで、一番有利な計算方法を主張・立証することも検討すべきでしょう。

3 事例

会社員の男性について、交通事故時27歳で年収が430万円程度であったが、平成17年の症状固定時で28歳と若年であることから、基礎収入を平成17年賃金センサス男子全年齢平均賃金552万3000円とし、67歳まで労働能力喪失率100%を認めた例(名古屋地裁平20.1.29、交民41・1・114)

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