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逸失利益・事業所得者

1 基礎収入

事業所得者の後遺症逸失利益を算定するにあたっては、以下のような基準で基礎収入を算定するのが一般的です。

① 事故前年の申告所得額(原則)

② 申告所得額と実収入額が異なる場合、実収入額を立証できれば実収入額

③ 所得が資本利得や家族の労働などの総体の上で獲得されていた場合は、所得に対する本人の寄与部分の割合

④ 現実の収入が平均賃金以下であっても、平均賃金が得られる蓋然性があれば男女別の賃金センサスによる

⑤ 現実の収入が証明困難なときは、各種の統計資料を利用する場合がある

2 解説

(1)青色申告控除がなされている場合には、同控除額を引く前の金額が基礎となります。

(2)本来、申告は正確に行っていなければならないものですが、現実問題として、実収入額とは異なる額を申告している場合もあるでしょう。そのようなとき、実収入額を何らかの証拠によって立証することできれば、実収入額をベースにした基礎収入が算定される場合もあります。但し、確定申告を上回る所得があったとする主張や、経費水増しの主張が裁判所で認められることは簡単なことではありませんので、そのことは予め理解しておく必要があります。

(3)事業を始めてからまだ間がないときに受傷したような場合等、実績があまりない時点での収入額を基準にすると、不適切な結果となる場合があります。そのようなとき、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスなどを参考にして適切な金額が認定される場合があります。

(4)無申告であっても、相当の収入があったと認められるときは、賃金センサスの平均賃金額などを参考にして、基礎収入額が認定される場合もあります。

(5)交通事故にはいつ遭ってしまうかわかりませんので、確定申告は、過少申告をせず、常に正確に行っておくことが重要です。

3事例

材木の仕入れ販売業の男性につき、交通事故前年の申告所得額は170万円であるものの、年額260万円あまりを借金返済していること、交通事故当時妻と孫2人の4人で生活していたこと等の理由から、基礎収入を男子年齢別平均賃金の385万3800円とし、5年間労働能力喪失率5%を認めた事例(大阪地裁平18.2.10、交民39・1・156)

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