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休業損害・事業取得者

休業損害とは,被害者が交通事故後の治療などのために休業を余儀なくされたことによって生じた収入減による損害をいいます。

事故前の収入を基礎とした現実の収入源を補償するものであって,休業以外にも,労働能力の低下によって生じた減収も含まれます。自賠責保険の基準では,原則1日5700円となっています(支払基準第2・2(2))。

 

事業取得者の場合,現実の収入減があると,休業損害と認定されます。

その際,原則として,事故前年の確定申告取得によって,収入額が認定されます。具体的には,休業前の売上額から,休業前の原価と経費(変動費)を控除した金額に,休業期間を乗じたものが「休業損害」となります。なお,地代家賃,電気代,従業員の給与等,休業中も事業の維持存続のために支出が避けられない固定費については,休業損害に含まれます。

ただし,以下の各ケースでは,注意が必要です。

(1) 赤字申告のケース

業務帳簿や預貯金通帳等の各証拠から,相当の収入があると認定できる場合には,賃金センサス(都道府県労働局および労働基準監督署の職員および統計調査員によって作成された賃金に関する統計のこと)を基準とした認定がなされています。

(2) 事故後に確定申告や修正申告が行われたケース

この申告額が直ちに認定されるわけではありません。この申告額の通りに収入額が認定されるためには,これを裏付ける証拠も必要になります。

(3) 無申告や過少申告のケース

申告外の取得については,信用性の高い証拠による合理的疑いを入れない程度の立証がなされないと,休業損害には認定されません(東京地判昭62.6.19)。この立証が無い場合,確定申告の取得額,または賃金センサスの平均賃金によって,休業損害が算定されます。

(4) 負傷した事業者以外の家族や従業員等の稼ぎがあるケース

事業所得のうち,家族や従業員等の負傷した事業者本人以外の者による利益も含まれる場合,休業損害と認定されるのは,本人の稼ぎによる利益(本人寄与分)に限られ,本人以外の利益(稼ぎ)については,休業損害とは認定されません。

この本人寄与率は,①事故前後の収支状況・営業状況,②業種・業態,③事業取得者の職務内容や稼働状況,④家族・他の従業員の関与の程度,給与額といった判断要素を元に,個々のケース毎に判断されます。

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