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高次脳機能障害について

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、頭部外傷による意識障害被害者が治療の結果意識回復したが、意識回復後に認知障害(記憶障害、集中力障害・遂行機能障害・判断力低下・病識欠落)と人格変性(感情易変・不機嫌・攻撃性・暴言、暴力・幼稚性・多弁・自発性低下・病的嫉妬・被害妄想等)を生じ、就労が困難になるなど社会復帰が出来にくくなる障害のことをいいます。

 

当該高次脳機能障害被害者の問題点は、画像等による脳の異常が確認出来にくいため、事故に起因して脳損傷が生じ、その結果の障害であるといえるかどうかが分かりにくい点にあります。

この意味で、成人の場合は当然として、幼児や高齢者が高次脳機能障害被害者になった場合は、交通事故による外傷に起因するものかどうかの判定をめぐってより認定が困難になります。

そのため、高次脳機能障害の後遺障害認定のためには、他の後遺障害よりも、様々な検査を受けて、より詳細な資料を揃える必要が出てくる場合があります。

2 高次脳機能障害に関する後遺障害評価

高次脳機能障害に関する後遺障害評価は、原則的には、自賠責保険に定められた9級・7級・5級・3級・2級・1級の区分に従います。

ただし、高次脳機能障害に上記のような問題点があることもあり、以下のように、従来の脳損傷の認定基準に付加して、高次脳機能障害認定システム確立検討委員会が「補足的な考え方」という認定のための目安を公表しています

 

① 1級3号「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」

→補足的な考え方:「身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の周り動作に全面的な介護を要するもの」

 

② 2級3号「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」

→補足的な考え方:「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」

 

③ 3級3号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」

→補足的な考え方:「自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲を自宅に限定されていない。また声掛けや介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」

 

④ 5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

→補足的な考え方:「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」

 

⑤ 7級4号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの」

→補足的な考え方:「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」

 

⑥ 9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

→補足的な考え方:「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続能力などに問題があるもの」

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