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逸失利益の損害賠償

1 逸失利益とは

逸失利益とは、被害者が当該交通事故に遭わなければ得られていたであろう利益を言います。被害者が死亡した場合(死亡逸失利益)や後遺障害が残ったと言える場合(後遺障害逸失利益)に計算が必要となる費目です。

2 逸失利益の計算方法

 (1)後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、基本的には次の計算によって決定されます。

(基礎収入額)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)

 (2)死亡逸失利益

死亡逸失利益は、次の計算によって決定されます。

(基礎収入)×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)

3 基礎収入の計算方法

原則として事故発生前の収入を基礎とし、例外的に、賃金センサスを使用する場合があります。

賃金センサスを用いる場合について、裁判所は、次のとおり述べています。

「原則として、幼児、生徒、学生の場合、専業主婦の場合、及び、比較的若年の被害者で生涯を通じて全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金によることとし、それ以外の場合については、事故前の実収入額によることとする。」(「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」・判例タイムズ1014号62頁)

このように、現実に事故当時に収入を得ていない場合でも、逸失利益は認められます。

4 労働能力喪失率の判断方法

労働能力喪失率は、自動車損害賠償保障法施行令別表第2を参考として決定されます。

ただし、裁判上、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度等を考慮して、上記別表と異なる割合が認定される例もあります。

例えば、後遺障害の内容が、被害者の労働能力に影響がない場合には、上記別表よりも低い労働能力喪失率が認定される場合もあります。

5 労働能力喪失期間の決定方法(後遺障害逸失利益について)

労働能力喪失期間の始期は症状固定日とされ、終期は原則として67歳とされます。もっとも、例えば、比較的軽度の症状であり相当期間経過後には回復が予想される、と判断されることもあり、この場合には、労働能力喪失期間が制限されることがあります。むち打ち症等による神経症状の場合には、後遺障害等級12級程度で5年~10年、14級程度であれば2年~5年程度に制限されることがあります。

6 生活費控除率の決定方法

生活費控除率とは、被害者が死亡したことによって、将来の収入から支払われるはずであった被害者の生活費の支払を免れるため、将来の生活費相当分を控除する割合を言います。

具体的に、裁判実務上は次の基準によることが多いと言えます。

① 一家の支柱 ・・・・・・・・・・・・・・・・30%~40%

② 女性(主婦、独身の場合等を含みます)・・・・30%

③ 男性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50%

7 就労可能年数の決定方法(死亡逸失利益について)

労働能力喪失期間(後遺障害逸失利益)と同様に、死亡逸失利益の場合における就労可能年数は、始期を症状固定日とし、終期を原則として67歳とします。

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