被害者は刑事裁判にどのように関与できるか
刑事裁判は、加害者(被疑者・被告人)の刑事責任を問う裁判ですので、被害者は当事者から外されてしまいます。
しかし、被害者の認識する事故の事情や無念な気持ちは、加害者の刑事責任を決める上で重要なファクターとなります。
そこで、被害者は、以下のような場で、加害者の刑事裁判に関与することができることになっています。
1 捜査段階での協力
警察官等は、交通事故事件を捜査する際、事故現場の状況や事故の態様を知るために、被害者から聴き取りをして、被害者の供述調書や実況見分調書を作成します。
この際に聞き取った内容は、捜査の方針や起訴・不起訴の判断をする際の重要な判断材料となります。
積極的に捜査機関に協力して、自分の認識や被害感情を伝えましょう。
2 刑事裁判への参加
加害者が危険運転致死傷罪等で起訴された場合、被害者は、一定の場合に、刑事裁判への参加の申出をすることができます。
この参加申出によって、被害者は、裁判に出廷して、情状意見や量刑意見などを陳述したり、被告人に質問をしたりすることができます(被害者参加制度 犯罪被害者保護法)。
3 刑事裁判の記録を利用する方法
刑事事件の裁判記録は、弁護士会照会や文書送付嘱託で取り寄せることができる場合があります。
また、被害者が独自に民事裁判を起こすにはその立証の負担が大きいために、 被害者は、加害者の刑事裁判中に損害賠償命令の申立てを行い、裁判所に対して、この刑事訴訟記録を利用して損害賠償命令をするよう求めることができる場合があります。
この場合、直ちに審理期日が開かれ、原則として4期日以内で裁判を終了させることとなっていますので、迅速・簡易な解決が期待できます。