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逸失利益・家事従事者

1 基礎収入

家事従事者の後遺症逸失利益を算定するにあたっては、以下のような基準で基礎収入を算定するのが一般的です。

① 賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者全年齢平均の賃金

② なお、有職の主婦の場合には、実収入が上記の平均賃金以上のときは、実収入に従い、それ以下のときは平均賃金に従う(パート収入がある兼業主婦であっても、通常そのパート収入部分を基礎収入に加える取り扱いはなされていない)

2 解説

(1) 家事従事者とは、家族のために主婦的労務に従事する人のことを言います(年齢・性別を問いません。)。

(2) 通常の場合には全年齢平均賃金額を基礎収入額とすることが多いといえますが、高齢者の場合には、年齢別平均賃金が採用される傾向にあります。相当な高齢者の場合には、身体状況や家族との生活状況を考慮して、賃金センサスの金額の何割かに減額した額が基礎収入とされた例もあるようです。

(3) 男性の家事従事者もいますが,その場合でも基礎収入額は女性の賃金センサスの値を参照することが多いといえます。

(4) 裁判では、ケースバイケースで判断されることが多いといえますので、証言や陳述書によって、従前の従事状況や事故によってその家事への従事の仕方がどのように変化したのか等を立証していくことになります。

3 事例

主婦について、夫と同居中は炊事、洗濯、掃除等の家事を行っていたが、夫が入院後はほとんど見舞いにも行っておらず、交通事故時に家事を行っていたとは言い難い面があった。しかし、夫が入院してから交通事故まで2か月余の期間しかなく、本件事故がなければ夫の見舞いに行って身の回りの世話をするなど家事労働に従事していた可能性もあながち否定できないとして、症状が固定した平成14年の賃金センサス女性全年齢平均年収額351万8200円の30%を基礎収入とし、8年間、労働能力喪失率100%を認めた例(大阪地裁平18.6.26、交民39・3・859)

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