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逸失利益・学生等

1 基礎収入

学生等の後遺症逸失利益を算定するにあたっては、以下のような基準で基礎収入を算定するのが一般的です。

① 原則として、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計の男女別労働者全年齢平均の賃金

② なお、女子の場合は、男女別ではなく、男女を含む全労働者平均賃金で計算すべきという判例もある

③ 大学生になっていない者でも、大卒の賃金センサスが適用される場合がある

2 解説

(1) 年少の女子について、男女を含む全労働者平均賃金を使用する年齢については一律の基準はないようですが、義務教育の卒業するまでに受傷した場合には、男女平均を用いることが一般的であると思われます。

(2) 年少者や学生の場合、将来の不確定な収入を基礎として逸失利益を計算することになりますから、計算方法や立証方法等によって、事実上、保険金・損害賠償金の額が異なる可能性があるといえます。

そのため、年少者や学生等、現実に収入のない者の逸失利益については、専門家に相談をして、しっかりとした対策を採ることが重要だといえます。

(3) 大卒の賃金センサスの場合、就労の始期が遅れるため、学歴計を適用するときより損害額が減る場合があります。

3 事例

(1)大学生の女子について、幼いころから書道の才能を有し、大学での課程を通じて更に特別な技能を修得するに至っていたこと等の理由から、平成14年賃金センサス女子大卒全年齢平均年収額である446万5000円に1割を加算した446万5000円を基礎収入とし、67歳まで労働能力喪失率100%を認めた例(東京地裁平19.9.25、交民40・5・1228)

(2)小学校1年生の女子について、現在の社会状況等の変化を踏まえれば、将来男性並みに働き、男性並みの収入を得られる蓋然性は相当程度認められ、女子平均賃金をもって基礎収入とするのは損害の公平な分担という見地からして相当でないこと、年少者の職域や就労形態が多様であること等の理由から、平成11年賃金センサス全労働者全年齢平均年収額である496万7100円を基礎収入とし、18歳から67歳まで労働能力喪失率45%を認めた例(大阪地裁平14.5.31、交民35・3・738)

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